ちゃんと学校で教えてほしい『仕事とお金』のハナシ

キャリア

日本の教育は、お金のこと・社会の仕組みを伝えない


先日、アメリカの我が家の近所のライブラリーに出向いてみたところ、現地中学生向けに「Small businessで稼ぐには?」といったようなセミナーの案内が掲示されていました。そのようなお金の教育を日本の公的機関で学んだ記憶はなかったため、なかなかの驚きでした。


日本がよき労働者としての教育を施すわりに、サラリーマンとしての人生設計についてすら教えない実態と比べると、本当に対象的です。どうやら日本の公教育において、お金のハナシは半ばタブー視されているようです。


キャリアの構築と収入は、切っても切れないくらい深く関係していることのはずなのに、大学の卒業を控え、就職活動をする学生さんたちと話しをしても、その認識レベルの曖昧さに、こちらがちょっと心配になってしまうくらいです。


もちろん、お金を稼ぐだけが職業選択における価値観のすべてではないですし、やりがいや個人の嗜好を反映した職業を選択するということも、それは一つの価値観です。


しかし、私がちょっと怖いなと思うことは、お金を稼ぐための社会の仕組みや構造についての理解が乏しく無知なまま、「好きなこと」重視の職業選択をしてしまうこと、またさせてしまう周囲の大人や教育も、これまた問題だと感じます。


仕組みを知った上で個人の嗜好として選ぶのと、仕組みを知らずに選ぶのでは全く違うわけです。

女性の方が、稼ぎにくい職業の選択をしている?低賃金の背景

「好きなことを仕事にしたい」女性の方がその傾向は強いかも!?


好きなことを仕事にしたいという傾向、女性の方が顕著な気がします。過去から男は一家の大黒柱、女は結婚すれば何とかなる、そういった時代錯誤の深層心理が根強く残っているのも事実かもしれません。


男性は、より「稼ぎたいです!」「お金儲けしたいです!」というような直接的な発言も多く、「仕事=お金を得る手段」という認識がより明確です。お金という軸がありながら、その上で、自分のやりがいや好きなことを仕事に紐づけて判断しているような印象です。

女性の賃金が低いのは、そもそも稼ぎにくい職業選択をしているから


しかし、女性の場合、まず好きなことがあり、自分のやりがいがあり・・・、最後にお金というような印象。極端な話、月給20万円でも、好きなことを仕事にしてしまう、できてしまうのが女性です。


女性の賃金が男性よりも低い。これ自体には様々な要因があることは容易に想像できますが、そもそも社会にエントリーするステージで稼ぎにくい職業選択をしている可能性が高い、ということが言えるかと思います。

私が、商社という職業を選んだストーリー

高校生、将来稼ぐため選択した道


少し私個人の話をさせていただきます。前職では日本サラリーマンの数%と言われる給与水準を稼いでいたわけですが、私は相当に稼ぐということに対してのコミットメントが高い思考をし、進路の選択をしてきました。


高校生のころ、グローバルに活躍したいとの思いから、語学を学ぶことを志望しましたが、選択した言語は中国語。莫大な人口と国土を持つ隣国なら、経済成長とともに化け、将来的にビジネスチャンスも相当に多いだろうと考えたからです。


10数年前、中国がまだまだ発展途上国の一員として捉えられているような時代に、中国語を選択している人はかなり変わり者との見られ方でした。自分自身も、何度イタリア語やフランス語など、おしゃれ言語を学んでいる人が、どれほど羨ましいと思ったことか!(笑)


その後、私の予想の5倍のスピードで中国は発展しました。

大学生、就職活動時の稼ぐための思考


そして、大学3年生、職業選択においても「お金の思考」が働きました


一生懸命に勉強した語学、結果的にそれ自体を仕事にしたいと思うくらいのめり込んでいました。しかし、語学、それだけを武器に職業選択をしてしまうと、稼げない可能性が高いということも事実です。


言語学習の極みでもある通訳や翻訳家も、長期的にこれを生業としてきちんと安定した職業とするには、かなりの実力と運が必要なように感じました(ですので、現在これらの職業で自立されている方とお会いすると尊敬しかありません)。


よって私は語学を使いながらも稼げる職業として、商社というフィールドを選択したのです。もちろん商社のグローバルな事業領域、またビジネスパーソンとしてレベルの高い場所に身を置けることにも非常にワクワクしたわけですが、その前提として、そもそも稼ぐことが難しい業界であれば、選んでいなかっただろうという感じです。

稼げるか?稼げないか?社会の構造が大きく影響している

働き始める前から給与の天井は見えている、業界選びは慎重に


今の組織で、「もっと頑張れば給与は上がるハズだ」と考えている方も多いようですが、現在の日本のサラリーマンの給与の決まり方は、個人の能力や経験値・会社の業績・組織の業績以上に、「業界の給与構造」が大きく影響をしているように思います。


一部の外資や完全歩合性の営業職などを除けば、どれだけ個人が頑張って成果を上げたとしても業界の構造上、年収の上限はある程度見えており、ゲームが始まる前から天井は見えているということです。だからこそ、どの業界に自分が飛び込むかということは本当に重要です。


例えば、会計を学んだから、経理の道に進みたいとします。学生時代に同じ様な知識を得て、入社後、同じような経理の仕事でキャリアを築いたとしても、入る業界で年収が大きく変わるだろうことは、四季報を引っ張り出して平均給与を見れば、容易に予想できるわけです。


すでに職務経験があり、ご自身の業界においての年収の天井が低いと感じるのであれば、転職するしかありません。

サラリーマンとしての天井


加えて、サラリーマンとしての限界説もあります。今の日本、組織で競争を勝ち抜き這い上がった結果、取締役になれるなどのケースを除けば、2,000万円程度がサラリーマンとして上限でしょうか。


そして、これよりも高い給与水準を目指したいとなれば、働き方を変える、つまり事業を興し、資本家側に回るしかないわけです。

雇われて稼ぐだけが方法ではない・・・事業を興す側に立つ

雇われて稼ぐだけが方法でなし


この資本家側に回るという方法ですが、実は「好きなことを仕事にしたい」女性にとっても一つの手法になり得ると思います。別に、飛びぬけて高い給与を得たい人だけの選択肢ではないわけです。


昨今、保育士の給与水準が低く社会問題になっていますが、子供と関わる仕事をしたいこの思いを叶えるための手法は、何も保育士になる事だけではありません。例えば、保育園を経営する側に立てば、より稼ぐことができる可能性も高くなります。


私の知人で、都内で認可保育園を複数経営している女性がいますが、保育士の平均給与よりも軽く5~6倍は稼いでいます。彼女は、「社会から必要とされる仕事を、自分も十分な収入を得ながら実現したかった」と言っていました。


もちろんリスク負担が増えること、資本が必要となることなど、難易度が相当に上がることは事実ですが、「好きなこと」それ自体を叶えるやり方は一つではなく、立場や役割を変えてみると全く違う世界が見えてくるということです。

稼ぎ口を多様化し、個人の収入ポートフォリオを組むことを考えてみる


加えて、昨今副業がトレンドになっていますが、この方向感は今後も加速していくことでしょう。不確定要素が多い時代において、個人で収入のポートフォリオを組むということは、長期的なリスク分散の観点からとても重要になってくると思います。


明治時代から数百年と続く総合商社ですが、なぜこれほどまでに継続できていたかというと、「事業領域の広さ」、それに尽きるように思います。


事業は、儲かる時もあるし、儲からない時もある、もっと言うと撤退するときもあるわけです。しかし、その外部環境の変化に、ポートフォリオを組むことで柔軟に対応してきたのが商社の歴史であります。


このことは、個人にも当てはまるということです。今の仕事が、20~30年後も稼ぎ続けることができるなど誰にも分からないわけです。だからこそ、個人でも、複数の収入源をポートフォリオとして持ち、それを柔軟に入れ替えていくというやり方はワークするでしょう。

夫婦でポートフォリオを考えれば、より多様な選択が可能に


そして、この考え方をより拡大すると、夫婦でこのポートフォリオを組むということも可能です。つまり世帯収入としてポートフォリオを組めば、よりリスクへの耐性が高まり、より多くの選択肢を想定することが可能です。


ここら辺の話は、下記リンクの「家族単位でポートフォリオを組んでみる」で書いておりますので、ご参考にしていただければと思います。

夫婦でキャリアを考えるということ
先日投稿させていただいた記事「結局、私は何にもやもやしていたのか!? 私が、帯同を決めるまで」がとても反響をいただき、やはり多くの駐妻・駐夫さんが多かれ少なかれ同じような山や谷を乗り越えられてきたのだろうなということは、このような境遇は自...

好きなことを仕事にするために


「好きなことが仕事にできる」それ自体は、悪いことではありません。理想的なことです。私自身も、好きなことを仕事にできたことで、楽しい人生を送れているように思います。でも、そこに少しでも「稼ぐ」という視点が加われば、好きなことを仕事にしながら、より豊かでリッチな生活ができるかもしれないわけです。


アメリカのライブラリーで開催される中学生向けの「Small businessで稼ぐには?」の講座を見ていると、労働者としての稼ぎ方だけでなく、資本家としての教育、別のいい方をすれば、稼ぎ方にはバリエーションがあるよということを教えてくれているように思います。


そのような視点を、もっと日本の学校教育では教えてほしいと思いますが、なかなか時間はかかりそうですね。では。

「好きなこと」を仕事にするための思考法

1.「仕事=お金を得る手段」としてちゃんと捉えてみる

.その仕事は、稼げるか?稼げないか?社会の構造で決まっている事実を理解する

事業を興す側、それは好きなことを仕事にする一つの方法 

稼ぎ口を多様化し、個人の収入ポートフォリオを構築を考えてみる

この記事を書いた人
155naicai

▶︎ 女性のキャリア・生き方を考えるマガジン Wherever we are の管理人 ▶︎ ちょっと前までバリキャリ商社ウーマンでワーママ。2019年に起業、現在はアメリカ在住 ▶︎ 自身の東南アジア駐在、中国留学、アメリカ生活などの海外経験に基づき、海外経験から学んだ価値観も踏まえながら、キャリア・生き方・働き方など情報を発信中

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