台風でも会社に行こうとする、その背景にある日本の課題

生き方



先日9月9日に関東を襲った台風15号ですが、通勤時間少し前だったということもあり、東京都内の公共交通機関は大混乱となり、Twitter上では、各駅のホームでの混乱ぶりをツイートする投稿にあふれていました。


私自身のTwitter上でやり取りする方の多くは、海外居住の方もしくは海外経験豊富な方が多く、「なぜ、台風でも日本人は出社しようとするの!?海外では絶対にないよね!」「外国人が増えるオリンピックになったらヤバイのでは!?」という異文化ツイートに溢れていたのですが、日本人の、台風でも出社したがるのかというメンタリティは、非常に興味深く考えさせられるテーマでした。


まだまだ、すべての会社で広まっているというわけではないですが、テレワークやリモートワークも一般的になってきた現代にて、そしてそれらツールの利用が本質的にはこういった非常時対応に出社しなくてもよいという利用方法も想定しているはずなのに、9日の緊急事態時にも、それらの利用が優先的に検討されていないように感じました。


当初思っていたことは、「やはり、期限や締め切りを守りたがる日本人。どうしても今日、会社でやらないといけない仕事がある人もいるのだろう。」、「『こんな台風でも出社してエライでしょ、俺!』的な、仕事の本質を勘違いしている人がいるのかな。」ということでした。しかし、本当にそのように責任感の塊のようなメンタリティの人が、これほどの人数規模でいるということはちょっと違和感があります。そして、これだけ働き方改革の名の下に、生産性や効率というkey wordが取り上げられる中、会社に行くそれ自体に価値があるという事を、未だにfirst priorityで考えている人がいるということも、違和感が残ります。


そんなことを、朝「保育士さんが通勤できていないので、できれば登園を控えて下さい」という、保育園からのメールを見ながら考えておりました。

あれ!?皆が皆、会社に行こうとしているわけでないという気づき



その後、終日その混乱ぶりを放映するテレビのニュースを見てみると、ある一つの違和感を感じます。長時間電車を乗り継いで、迂回ルートを駆使して会社にいつもの3倍の時間をかけて到着しようとしている多くの人は、男性40代、50代のサラリーマンように感じたのです。昨今、労働人口構成の多様化しており、オフィスを見渡せば、性別、世代問わず様々な属性の人が存在します。しかし、テレビから流れてくる画像は、明らかにいわゆるおじさんサラリーマンの数が多いという事実。


逆に子育て中のワーママ、20代ないしは30代の男性社員が、わざわざこのような日に通勤しているような姿はあまり映りません。彼ら・彼女らはよりリアリスティックです。こんな台風の中、危険を冒して会社にわざわざ通勤する必要なんてない。自宅でリモートで働けるし、往復4時間かけて会社に行くくらいだったら、その分自宅で働ける。そして、保育園も混乱しているだろうから、今日くらい自宅で子供の面倒見てあげた方がいいわよね。おそらくこんな感じです。実際、私の周囲の友人と連絡を取り合ってみても、誰一人出社している人はいませんでした。


そこで思います。男性40代、50代、サラリーマンおじさんたちの尊厳は、会社に行くという事なのかもしれないということです。専業主婦家庭、家事・育児は奥さんが担う、私の役割は会社に行き、家計に貢献することだ!という信念があれば、休みでもないのに会社に行かない日、それは、自分の尊厳を表現できない日であるのかもしれません。そして、自宅において、取り立てて役割がないということであれば、自宅にいても、決して居心地が良いものでもないということです。「会社に行こう、こんな台風の日まで会社に行って俺は頑張っているじゃないか。そう、台風の日でも、会社には俺を必要とする役割があるんだ。なんだ若者・女性は、根性がないな。」

台風15号から学んだ日本の課題


色々と思考を巡らせてみると、この闇は結構深いような気もします。子育て中のパパやママが、1分2分を争って効率化を図り、アウトプットを出そうと必死に努力しています。一方で、彼ら・彼女らのコンサーンとは全く別の価値観や規範を判断軸として行動している「サラリーマンおじさん世代」。


どちらにもそれぞれ、自分たちの信じる判断軸があり、そのどちらも、それぞれにとっては正義です。しかし、どちらも対局にあるあまり、歩み寄る、もしくは理解し合うというステージを超えているようにも思います。


日本の人口減少、競争力減退、そういった記事を見るたびに、労働環境の改善は急務と感じます。しかし、いくら働きやすい良い制度を作っても、いくら便利なツールをコストをかけて導入したとしても、そこで働く人達のメンタリティや価値感が変化しなくては、結局は変わりません。「日本が働きやすい環境になるのは、もう少し時間がかかるかもしれないな。」そんなことを台風後、一気に晴れたギラギラした太陽を見ながら思いました。


この記事を書いた人
155naicai

▶︎ 女性のキャリア・生き方を考えるマガジン Wherever we are の管理人 ▶︎ ちょっと前までバリキャリ商社ウーマンでワーママ。2019年に起業、現在はアメリカ在住 ▶︎ 自身の東南アジア駐在、中国留学、アメリカ生活などの海外経験に基づき、海外経験から学んだ価値観も踏まえながら、キャリア・生き方・働き方など情報を発信中

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