「20代女性×海外×キャリア」がそう簡単ではないというハナシ ~すべての海外駐在志望の女性へ~

キャリア



昨今、若者の海外志向離れなどが取り上げているものの、依然として「いつかは海外駐在をしたいです」「海外で働いてみたいです」という後輩からの相談を良く受けます。


私自身、新興国で女性駐在員もほとんどいない中、チャンスにも恵まれ、入社5年目28歳でインドネシア駐在を経験しました。当時、駐在の内示を上司から受けた際は、机の下でガッツポーズするくらい嬉しかったですし、駐在経験を経て数年経過した現在でもなお、当時の思い出は自身のキャリアの中において一つのハイライトであることは間違いありません。


私自身は任期を終え帰国した翌年に結婚・出産をしました。しかし、駐在→結婚→出産という経験を振り返ってみれば、女性が駐在するということは、結構ハードルが高いものなのだと、改めて感じるようになったことも事実です。

葛藤の塊 結婚・出産か? vs 駐在か?


20代の当時、私のキャリア志向は相当強かったです。正直、結婚や出産など1mmも興味がなかったですし、その点における迷いや戸惑いなどとは、幸いにも無縁の状況でした。


しかし、若手の女性と話しをしていて常に話題になることは「駐在を希望する」vs「結婚・出産」という2軸の構造かと思います。会社にもよりますが一般的に、若手・中堅社員の駐在が現実的になってくる年齢としては、5~10年目くらいかと思います。そうなると、第一回目に駐在チャンスが訪れるのが27歳から32歳。トレーニーや研修なら期間は1~2年ほどですが、駐在となればミニマム3年ほど現地で張り付くこととなります。27歳から32歳をスタートに、ここから3年間が張り付く。所謂「結婚・出産」適齢期とドンピシャです。


もちろん、結婚しない・出産しないという選択肢も人生において全く否定しませんが(自分もそういう価値観でしたし)、とはいえ一般的には多くの女性が、いつかは家族を築きたい、子供を育みたいと考えている状況において、ほぼその選択肢とバッティングするという駐在経験は、結構二者択一の選択になりがちではないかと思うのです。

海外志向の若手女性を悩ませている犯人は?!



「駐在期間中は、出産するのはちょっとないよね」という雰囲気が一番の問題かと思います。誰もが簡単に駐在というポジションを獲得できるわけではない、未だに憧れのポジションであるからこそ、駐在期間中は業務に邁進するべきといった空気感が存在するように思います。


「週末でもアテンドするのは駐在員の役目だよね。」「連日の夜遅くまでの会食・接待、駐在員だからしょうがないよね。」という空気感の延長に「駐在員だから当然、任期中の出産はしないよね。」という暗黙の前提があるように思います(流石に、面と向かって言われることはないと思いますが…)。


このなんとも言えない空気感(固定概念)を「本人」が取り払い、また周囲にもその理解を求める努力をする必要があるのです。本当に駐在中に出産することはおかしなことでしょうか?逆にダメだという空気感を作ってしまっては、女性は駐在行っちゃだめだよねというようなものに感じます。


日本の産休・育休制度は、約1年ほど休むこととなり、この期間は海外と比較し極端に長い印象です。海外では、両親やナニーが子育ての主担当を担うということを前提に、数か月で復帰するケースは普通に存在します。


そう考えると、駐在期間中に現地で出産し、2~3か月で復帰、そのまま駐在ポジションで活躍するということも、取り得る選択肢ではないかと思うのです。そこには「出産したら1年くらいは不稼働なんでしょ?(=1年もポジション開けていられない。だから女性駐在員は難しい)」という日本にいる社員(上司)の意識を変えてもらう必要がありますし、日本の常識感からすると極端に短いスパンでの復帰を本人も受け入れる必要があります。


それなりのコストと負荷はかかりますが、フルタイムのナニーを雇う、パートナー(夫)に帯同してもらうなど対応をし、駐在を実現するということはできなくはないと思うのです。尚、最近では、駐在時に自身の親族(通常は、実母を想定)を帯同させても良いとする会社も出てきていると聞きます。そうなれば、国によってはナニーコストが安く、むしろ海外の方が子育てしやすかったなどの声もあるほどです。そう、色々と選択肢はあるのです。

女性の駐在、企業の制度として進めていただきたいこと



早期化・短期化するという方法です。女性のライフプランを考慮した結果、駐在ではなくトレーニーという形で、早期に、そして短期間で海外経験を積ませるという施策をとる会社があると聞いたことがあります。確かにライフステージに差し掛かる手前で、駐在の疑似経験ができる、海外業務の実態に触れることができるトレーニーは、一つのオプションとして成立すると思いますし、そのような試みは素晴らしいものです。


一方で、やはり駐在として赴任することにとても価値があるとも感じます。現地スタッフを管理する立場、責任の伴うポジションで働く、これらはトレーニーではなかなか得難い経験かと思います。そいういったことも考慮すると「やっぱり駐在員として経験を積んでもらいたい!」という思いも残ります。


もう一つ、現地での出産を支援する施策です。現地での出産を想定する文言が制度上に明記されれば、そういうオプションもあるということが社内に周知されるでしょう。そいった形で「駐在中だから出産しないよね?!」という暗黙の前提を崩していく雰囲気づくりが重要に思います。


お金の問題よりも、制度の問題よりも、一番の問題は「寛容な雰囲気作り」と感じます。そして、組織において日本人は自らそういう雰囲気を作り出すことが、非常に苦手と感じます。だからこそ「会社としては、アリだと考えていますよ!」ということが強烈なメッセージになり上司世代には届くと思うのです。そしてそういった事例が一人、二人と出てくるに従って「あ、〇〇さん赴任地で出産したんだって」というような会話が、普通にできる日が来るであろうと思います。

駐在志望女性がやるべきこと・できること



「結婚や出産を考えれば、駐在は現実的でない、でもキャリアだけを考えたら行ってみたい。」そんな気持ちがありながらも、上司にその意向を伝えることを躊躇してしまう傾向・・・。色々と考えすぎるあまり、本来キャリアで実現したい駐在のことを、なかなか言い出せないという状況は何とかしなければならないと感じています。


一つだけ言えるのは、駐在候補者リストに自分の名前を掲載してもらわなければ、駐在チャンスは絶対に回ってこないということです。多くの企業にとって駐在ポジションはいまだ花形であり、男性社員含め多くの人がいつかは行きたい、できれば行ってみたいと思っているポジションでしょう。そのポジションにありつくには、仕事上でのアピールはもちろん、評価やキャリアの面談時に自身の意向を伝えなければ、おおよそ回ってこないチャンスでもあると思います。


上司としても「何も言ってこないし、女性だし駐在は無理かな。」とアンコンシャス・バイアスがあるかもしれません。だからこそ「自分も駐在候補者リストに載せて!」ということは、事あるごとに上司にインプットが必要かと思います。


一方、結婚・出産は、タイミングに大きく左右される事項です。望めば来月結婚できるわけでもないし、来年出産できるわけでもありません。自身を取り巻く環境は「常に」変化します。その外部環境の変化に伴い、本人及びパートナーの気持ちや優先度も変わっていくと思うのです。


だからこそ「自分は駐在したい」という意向は伝えてください。その上で、運よく本当に駐在の内示が出た時、現地で産む・駐在後に産むなど、現実的に取り得る対応をすれば良いのです。そして、赴任前に、出産する場合もあり得るかもという事をやんわりと伝え、その場合にとる対応策を事前に上司にインプットするのがよいかと思います。


上司も心配なのです。業務もありながら、海外で仕事を持ちながら出産・子育てをできるだろうか?自分の奥さんを想定すれば無理ではないか?現地業務のフォローはどうすればよいだろう。これらは、全くイメージができない話であり、「仮にそうなった場合には、こういう対応をしようと考えています。」と伝えるだけで、受取り方は随分と変わるのではないでしょうか。

駐在したい女性社員への私からのメッセージ


女性が駐在。男性社員が駐在する時よりも、変動する要素がより多く、確かに悩むことは多いです。しかし、タイミングと自身でマネージできる選択肢を増やしておけば、無理なことではないかもしれないという事、覚えておいてください。


そして、本当に悩めば良いのは、駐在の内示が来た時、もっと言うと妊娠をした時。それまでは、少しだけ自身のキャリアの「意向」を優先してもいいのではないでしょうか?「駐在してみたい」と口に出すのは、あなたのキャリア上の意向です。そう、簡単じゃないですよね、でも、目標を実現する方法はあるよということです。


この記事を書いた人
155naicai

▶︎ 女性のキャリア・生き方を考えるマガジン Wherever we are の管理人 ▶︎ ちょっと前までバリキャリ商社ウーマンでワーママ。2019年に起業、現在はアメリカ在住 ▶︎ 自身の東南アジア駐在、中国留学、アメリカ生活などの海外経験に基づき、海外経験から学んだ価値観も踏まえながら、キャリア・生き方・働き方など情報を発信中

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