あまり語られていない!?『配偶者転勤に伴うの帯同制度』について考えてみた

Life

そもそも『配偶者転勤に伴うの帯同制度』とは?




配偶者が転勤になった場合、その随伴のための帯同することを認める制度で、帰国後元も会社へ復帰できる制度です。



専業主婦が当たり前、転勤には退職して帯同するのが当たり前という時代が終わり、女性でもキャリアを何とか継続したいというニーズの高まりの中、また企業側としても長年育成コストをかけた社員が退職されてはもったいないという背景も踏まえ、『配偶者転勤に伴うの帯同制度』が生まれました。



駐妻・駐夫さんなら一度は聞いたことがある、この「配偶者の転勤に伴う帯同制度」について、今回は、考えてみたいと思います!


そもそもこの制度の成り立ちって!?



この制度ができる「以前」、例えば夫側に転勤辞令が出た場合、妻側としては下記二つのオプションしかありませんでした。



①配偶者の転勤先へ帯同する(退職する)


②配偶者へ帯同せず、自分の会社に勤務し続ける(別居生活)




一時的な夫の転勤のために転勤先に帯同する為、退職することになることは非常に大きな決断となります。



転職市場がここまで発達していなかっただろう過去、帰国後再就職しようとしても、そもそも職が見つからないということも容易に想像ができ、退職決断は、非常にハードルが高いものでした。




一方、帯同せず、別居生活を続けることも長期にわたり家族が離れ離れとなり、物理的・精神的にも容易な決断ではありません。 日本で仕事をしながら家事・育児をワンオペ、大変です。


そんな悩みを抱えた従業員の声を反映しできた制度です。


実は、他国ではほとんど事例がない制度!?




実は、他国ではあまり見かけないこの制度。
長期雇用を前提とした日本型雇用慣行を強く反映しているものでもあります。



つまり、海外では転職しながらキャリアを築くのが普通とされる中、例えパートナーの転勤に伴い複数年離職期間があっても、帰国後再就職が容易にできるという状況が一般的かと思います。



しかし、新人一括採用からの長期雇用前提の日本社会においては、30代、40代となり帰国後の再就職を探すのは難しい(難しかった)。




加えて、企業側も優秀な社員を中途採用で確保することは難しい中、例え、優秀な人材を確保できたとしても会社のカルチャーへの適用は時間がかかる、それならばよく気心の知れた社員に戻ってきてもらいたい。




制度策定の背景には、会社側・従業員側の意図が一致したものでもあります。



私の認識では、『配偶者転勤に伴うの帯同制度』が制度化され始めたのが2000年代中頃。また現在これに近い制度を導入している企業は、日本の上場企業で約3割とのこと聞いたことがあります。



まだまだ広く浸透した制度ではないものの制度開始から約15年、この制度に関しての運用も実績がある程度ではじめていることもあり、次に、本制度に関しての課題について振り返りたいと思います。

ポイント① 根強い意識認識ギャップ!スキルが錆びている説 vs 新しい経験を積んでいる説


本制度において一番の課題は、職場(上司・同僚)と本人の意識に相当なギャップがあることかと思います。



帯同する本人の意識
・新しい環境において、言語・文化に適合していく中、成長実感がある
・現地就労や資格の勉強等を通じ、新たなスキルや経験を積んでいる



職場(上司・同僚)の意識
・「配偶者に帯同する」=「キャリアより家庭を優先した」
・帯同時、育児家事「だけ」している人
・帯同期間で、仕事のスキルが下がっているはずだ



帯同する本人とすれば、新しい環境で新たな経験等を積み、それらを通じて成長実感を感じている。



まして、海外の現地企業で働いた、MBAや修士号を取得したとなれば、胸を張って自分は一回り大きくなっていると感じていると思います。



一方で、職場の雰囲気としては、あくまでも家事育児に専念し、時に習い事にいそしむというステレオタイプな駐妻を思い浮かべ(実際ほんの数年前までこのようなライフスタイルの駐妻がマジョリティーであった)、まさか帯同した社員が成長実感を感じているとは、リアリティをもって想像できていないという実態があります。



よって、帯同時に上司や同僚から全く悪気はなく言われる「休めていいね。」「旦那さん、美味しいご飯食べれていいね。」という言葉、加えて、復職時にも「4~5年休んでいた人」というレッテルの中、当人が周囲から受けるイメージと自己認識のギャップに戸惑いを覚えるという構造があります。



総合職として第一線で活躍している社員であればなおさら、違和感を覚える状況にあり、ここには、日本社会のスキルアップはあくまでも社内のキャリアにおいてという非常に古い考え方があるという事は言うまでもありません。



帯同期間中の経験を評価しようじゃないか!でも、、、




こういった背景も踏まえ、帯同中の過ごし方を評価し、明らかに成長として認められるようなケースは等級や給与を見直すというような動きもあります。




帯同する本人としては、努力が評価されるであろうということはモチベーションにもつながることは間違えなく、また評価を受けて再入社することは、復職時の周囲とのギャップを埋める要素の一つになるでしょう。


一方で、議論になりそうなポイントとしては、別居選択残留組との公平感かと思います。本制度を利用せず、別居&単身赴任を選択し、ワンオペで負担のかかる環境ながらもキャリアを継続した。その背景は「今のキャリアを犠牲にしたくない。」という思いが背景にあるかと思います。




しかし、帯同し海外での新たな経験を評価してもらえる仕組みがあるとすると、「別居&ワンオペを選んだことは、どういう意義があったのだろう。」と思う方もいるのではないかと予測されます。



本来、得たスキル・経験をもとに個人がどう会社に貢献できるかが等級や給与の考え方において重要であり、会社に所属していたorしていないはあまり意味がないものですが、年功序列を基軸とする人事制度や評価制度とも関連し、このソン・トク議論、不公平議論はどうしても浮上してしまうのではないかと思います。



ポイント② 退職か?休職か?


本制度において、大きく二つのパターンがあります。実質、帰国後に働けるという意味では、ほぼ同じということに変わりはありませんが、やはり従業員側/企業側それぞれにPros/Consがあるように感じます。


①退職するが、帰国後再雇用を約束する

 1 無条件で再雇用  
 2 試験や面談、配属先を考慮の上、再雇用(実質、中途採用よりは採用確率が各段に高い)  


  メリット   
 
・帯同期間中、所属に捉われなる必要が少ない(現地就職・起業など)  


  デメリット   
 ・試験や面談の結果、配属先がない状況においては再雇用されないケースも   
 ・退職金や年金において不利になる
 ・「退職」を受け入れる過程で会社へのロイヤリティは下がる可能性がある 



②退職はせず、休職期間とする

 メリット   
   ・会社への所属意識は低くなりにくい 
   ・退職金や年金を継続できる  
 
 デメリット   
 ・現地就労等が認められない(一部では、兼業が認められるケースも)   
  ・社会保障費(会社負担分)を会社・個人が継続して負担する必要がある



企業側からすれば、 100%戻ってくるかわからない社員に対して、社会保障費を払い続けることの経済性があまりなく、それならば退職とし、一旦パートナー側の会社においての扶養家族としてしまう方が合理性があるとも言えます。



そして、復帰後の経済情勢なども鑑み、再雇用を柔軟に調整できるよう、試験や面談、配属先のニーズを踏まえ再雇用を決定するということもリーズナブルでしょう。



従業員側からすれば、退職とし、帰国後、場合によっては再雇用されない状況もあり得るということ、また前職に気兼ねなく帯同期間中になんらかの活動ができるということは、より帯同期間中のキャリアへの意識を継続させるインセンティブに働くように思います。

つまり、より現地就労をする、フリーランスとして働く、自分で事業をする、大学院に通う、資格を取得するなどオプションを積極的に取る社員が多くなることで、社外の空気に触れることは、キャリアデザインにおける思考に変化をもたらすように感じます。


過去、転職市場がないという状況においては、「とはいえ戻ってくる」という前提だったのかもしれませんが、転職市場が活発化された現在において、退職を受け入れ所属アイデンティティが薄れる状況において、帰国後、他のキャリア選択をするというケースも増えていくのではないかと感じています(つまり、退職とした場合と休職とした場合では、復職率もやや違うのではないかと感じています)。


ある企業人事担当者と本制度に関して会話をしたことがあります。



「戻ってきてほしいという社員ほど、帯同期間中に自分で新たな道を開拓しており、年々、戻ってきてくれない傾向が強くなっている。



そして、残念ながら、帯同前のパフォーマンスがイマイチな社員ほど、前所属での評価が悪く、配属先のマッチングがうまくいかず本当に苦労するが、復職という権利意識は高く正直非常に困っている。



加えて、復職時は、子育て世代の30代、40代となるケースが多く時短勤務等のニーズも多いので、余計にややこしい話だ。」



というようなコメントもありました。



制度利用にあたり、個人としての心構え




仮に制度利用で戻る部署や業務内容がある程度明確なのであれば、復帰後のキャリアプランについて会社と方向性をすり合わせておくのも一つかと思います。



そして、例え休職中・退職中とは言え、コンタクトポイントを定期的にもち、会社動向(組織や人事の異動など)情報に対して、敏感に情報を集めておく必要もあると思います。



一方、常に「戻らない・戻れないかもしれない」という適切な危機感を持ちながら、転職や独立も想定した、スキルアップや経験の幅出しを行っておくことが、結果的に、どのような道を選択しようとも、帰国時のキャリア継続をスムーズにしてくれるように思います。


最後に・・・




転職市場の発達に伴って、帰国後、帯同者の再就職もより様々なオプションがある中、この制度の意義や位置づけは今後様々な議論があることと思います。



しかし、企業にとってせっかく育成した優秀な社員であれば、ブランクあれど戻ってきてほしいもの。またそのような制度が存在すること自体が、「長く働ける会社として」採用や女性活躍などの位置づけにおいて、アピールポイントとなっていることは間違えないでしょう。




またまだ発展途上の制度ですが、時代の変化と共に、改善を行いより良い制度になってほしいものです。

この記事を書いた人
155naicai

海外キャリアワーママのライフ・コーチ ▶︎ 女性のキャリア・生き方を考えるマガジン Wherever we are の管理人 ▶︎ 中国留学 → 総合商社 → 東南アジア20代駐在 → ワーママ → ライフ・コーチ ▶︎ 現在は、アメリカ在住 ▶︎ 自身の海外経験から学んだ価値観も踏まえながら、キャリア・生き方・働き方など情報を発信中

155naicaiをフォローする
Life駐妻・駐夫
155naicaiをフォローする
Wherever we are
タイトルとURLをコピーしました